15年09月27日 その2
ちょっと時間があるのでぶらぶらしよう
ここがスタッフ自慢の古いらせん階段か
外国人がめっちゃ喜ぶんだって
うわーめっちゃレトロ
誰あんた
でもこのホテル、あと10年はもたないんじゃないかな 1954年の建築から62年(創業からは百余年) 伊香保初の鉄筋コンクリート造りのこの建物は限界に近いだろう 諸法の規定で建て替えはまず無理 となると、廃業
親しくなった従業員の方もそのへんは言葉を濁してたな 多くの年輪を刻んだ横顔で うーん、切ない
この坂道はわりと有名で、何度かテレビの情報番組でオンエアされた 車でこの宿に来るにはあの細い道を通らなければならない でも従業員の熟練した技術でしか到底なし得ないことで だからこの石坂旅館では旅館の前以外にも駐車場を用意してる そこからは送迎があるわけさ
坂を登りきったとこ 大黒屋というまんじゅう屋さん 伊香保は温泉まんじゅう発祥の地で、元祖は宿のお茶請けにあった勝月堂 明治43年の発売 以後、後述する千明家の勧めによって田中屋、清芳亭、大黒屋と製造者が増大することに 東武伊香保軌道線によって観光客が激増すると、温泉まんじゅうが土産物として大人気に ちなみに当時の車両は江ノ電の払い下げだったそうで そのへんはブラタモリでちょと触れたようだね
高崎市民としては伊香保は草津や四万、みなかみや老神よりずっと身近な存在でね
関東以外の人々にはマイナーと知って驚いたのなんの
でもそれもおかしな話でね
夏目漱石、徳富蘆花、田山花袋、島崎藤村、与謝野晶子、若山牧水、萩原朔太郎、芥川龍之介、野口雨情 実に多くの文人に愛された温泉郷だから 徳富蘆花は「不如帰」を、与謝野晶子は「伊香保の詩」をこの地で書いたんだよね だから読書が好きな人にとって伊香保は聖地のひとつでもある
最近はみんな本を読まなくなったのかな おれもほとんど読まないけど、そんくらいの知識はあるなあ ググらなくても ほとんど地元だから当たり前か
もっとも高崎市民が伊香保に親近感を抱くのは当然なんだけど
車で4-50分だからね(笑)
温泉街唯一の商店 いい感じに枯れてる
実は枯れてるのはこの伊香保そのものでね
宿泊客は平成3年の173万人から大きく減らし、平成15年には126万人 平成16年の温泉偽装問題以降はさら減少し、平成24年には117万人 ピーク時から2/3と減少の一途を辿ってるわけ
もっとも、みなかみ温泉ほど未来が悲観的なわけではないけど
みなかみ温泉に現存する大型宿泊施設のうち、過去に民事再生法や会社更正法の適用を受ていないのは1軒だけ 他は全ていちどは倒産しているわけ 白雲閣、藤屋ホテル、ひがきホテル、水上観光ホテル、松乃井ホテル、大宮ホテル、蒼海ホテル 名門ばかりだよ そしてかつて天皇陛下がご滞在され、おれも宿泊しレポした水上館も平成25年に事実上の倒産 みなかみ温泉は今まさに終焉を迎えようとしている
そうならないように、伊香保も頑張らないとね
いや、頑張ってるほうだと思うよ
少々白々しくても、少しでも人を呼ぼうとする努力は怠っていないようだから
でももっと頑張れ
我国温泉都市計画第一号の地として
さて帰るか
温泉入って飲んで食って
明日への鋭気を蓄えよう
異業種の心配してる場合じゃないしな
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