測量士になろう 第一章 測量士とは 1 測量士という仕事 測量士とは測量業に従事するため必要な資格で、wikiでは次のように記しています。 測量士とは、日本において測量業者に配置が義務づけられている国家資格(業務独占資格)である。 測量法に基づき、国土交通省国土地理院が所管している。 また、日本測量協会では次のように説明しています。 測量士とは、技術者として基本測量(すべての測量の基礎となる測量) 、 公共測量(国又は地方公共団体の実施する測量)に従事するために必要な資格です。 我が国には測量に関する資格が幾つかあります。 土地家屋調査士、測量士、測量士補の3つですね。 土地家屋調査士は登記を目的とする資格で、仕事のメインは家屋の表示登記です。 一方測量士と測量士補は基本測量と公共測量を目的とする資格で、仕事のメインは公共事業です。 前者は国民を対象とし、後者は国や自治体を対象としています。 似て非なるものですが、一般的には調査士さんのことも測量士さんと呼ぶことが多いです。 いずれも業務独占資格です。 お国に登録する際に登録免許税を納付しなければなりません。 測量士は3万円です。 司法書士や社会保険労務士、獣医師や薬剤師と同額ですから大したもの。 測量士と測量士補の違いについては、測量法第四十八条で次のように規定しています。 技術者として基本測量又は公共測量に従事する者は測量士又は測量士補でなければならない。 測量士は、測量に関する計画を作製し、又は実施する。 測量士補は、測量士の作製した計画に従い測量に従事する。 プロデューサーとディレクターのような関係といえば分かりやすいでしょうか。 測量士が計画をし、測量士補がそれに従い、作業補助者と共に観測を行う。 そんなイメージでOKです。 また、測量業を営む場合は事務所ごとに測量士を1名配置しなくてはいけません。 測量士補ではダメです。 当然ですわな。 2 測量士資格取得のメリット では、この測量士を取得するメリットは何でしょうか。 まず就職の武器になりうるか。 これが結構需要があるんです。 ほとんどのハロワで求人を見つけることができるはず。 東日本大震災からの復興はまだ道半ばです。 本年には熊本地震もありました。 そして東京オリンピックの開催。 これらの特需に乗って測量会社に勤務するなら測量士は厚遇されること必至です。 次に、隣接資格との連携はどうか。 以前は技術士1次試験の共通科目が免除されたそうです。 ご存知のように技術士は理系の頂点に君臨する資格。 その1次試験の共通科目がまるまる免除されたのです。 これは相当なメリットですが、H24年でなくなっちゃいました。 ガックシ。 それでも、職業訓練指導員の学科試験と実技試験が免除されます。 あとは「指導方法」という試験をクリアするだけなので事実上のフリーパス。 募集が少なく採用されることが難しい職業ですが、地元選出衆議院議員に300万も包めば何とかなる。 一般の教員並みにオイシイ仕事なので、これを目指すのも手かも知れませんね。 ちなみに技術士は21部門85分野に及びますが、「測量学」はありません。 これは測量士が存在するからです。 「建築学」や「医学」も同様ですね。 つまり、測量という分野において測量士は最上位資格という位置付けなのです。 3 測量士試験の現実 測量士になる方法は幾つかあります。 列記しますね。 ・大学で測量に関する科目を修め、卒業し、1年以上の実務経験を有する者(1号) ・短大又は高専で測量に関する科目を修め、卒業し、3年以上の実務経験を有する者(2号) ・測量学校を卒業して測量士補となり、更に2年以上の実務経験を有する者(3号) ・測量士補として専門の養成施設で高度の専門の知識及び技能を修得した者(4号) ・測量士試験に合格した者(5号) そう、1〜4号は実務経験のみで登録が可能です。 実はこの1〜4号登録者が測量士全体の9割を超えています。 近年制度改革が論議されており、近々「試験+実務」が必須となりそうな気配。 試験組がマイノリティというのはおかしいという論調なんですね。 でも、わたしは逆のスタンスです。 だって5号以外の最短期間は「士補試験合格+4号」の2年ですもの。 全て無試験で通すとなると3号の4年が最短。 試験組は頭さえよければ最短1ヶ月ですよ。 1ヶ月で技術職の頂点に立つことができるというのは、どう考えても甘いシステムです。 測量学校へ入学するということは、測量を生業とすることです。 人生の選択ですね。 一方の試験組は選択肢を留保している。 測量の道を歩まない未来があるわけです。 そもそも測量機器に触れたことすらないのですからね。 試験のみで測量士というのは明らかにおかしいです。 4 測量士試験の概要 ここでは試験の概要について記します。 【願書配布】 ・国土地理院及び各地方測量部、沖縄支所(郵送可) ・各都道府県の土木関係部局(東京都は都市整備局)の主務課 ・日本測量協会及び各地方支部 【出願期間】 ・1月の仕事初めから最終週の金曜日まで必着(郵送の場合は書留郵便で) 【提出書類】 ・受験願書一式 ・顔写真1枚(縦4.5p、横3.5p) ・受験手数料(4250円分の収入印紙) 【試験日程】 ・筆記試験 05月の第3日曜日(13時30分から16時30分の3時間) 合格発表 07月の第1火曜日(国土地理院では氏名、WEBでは受験番号のみ) 【試験会場】 ・北海道、宮城県、秋田県、東京都、新潟県、富山県、 愛知県、大阪府、島根県、広島県、香川県、福岡県、 鹿児島県、沖縄県 【出題科目】 ・測量に関する法規及びこれに関連する国際条約 ・多角測量 ・汎地球測位システム測量 ・水準測量 ・地形測量 ・写真測量 ・地図編集 ・応用測量 ・地理情報システム 【試験形式】 ・午前 択一式 28問(700点) ・午後 記述式 必須1問(300点)/選択2問(400点) 【合格基準】 ・択一式が350点以上で、かつ択一式と記述式の合計が910点以上 【実施状況(過去10年)】 ・受験者数 2170〜2739人 ・合格者数 127〜315人 ・合 格 率 5.2〜11.93% 5 さあ、挑戦しよう さあ、どうでしょう。 その気になってきましたか? この試験はちゃんと準備すれば誰にでも合格することができます。 士補を25/28以上で合格した人なら1日3時間×1ヶ月で100時間。 それ以下で合格した人なら150〜200時間。 ズブの素人で300時間、バカで500時間といったところでしょうか。 次頁ではその勉強法について説明します。 受験指導校は1校のみ。 日本測量協会の通信教育です。 でも、受講する必要はありません。 独学で十分です。 次頁ではその学習法を伝授しましょう。 次へ 表紙へ トップページへ